凝固欠陥として※3
1.ミクロ偏析
2.マクロ偏析 (正偏析・負偏析、正常偏析・逆偏析、V偏析
逆V偏析・A偏析)
3.気孔欠陥 (ガス気孔欠陥、ひけ巣欠陥)
4.高温割れ
5.その他の欠陥 (組織欠陥、介在物欠陥、高温変形)
などがあげられます。このページでは、特に、3.気孔欠陥に
ついてとりあげています。
SEM(走査型電子顕微鏡)を使って、欠陥内部の拡大画像が
得られ、やEDS(エネルギー分散型X線分析)を使って、
成分の分析をします。
鋳造欠陥の名前、 鋳造法、 金属の種類、 要因、 対策の
順番で書いてあります。(対策は方案で出来るものを優先)
※1
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「優れた鋳物製造のために
必要な10のルール」※2
(John Campbell教授)
1.良い溶湯の準備
2.湯面の乱れをなくす事
3.表面酸化物の取り込みを
なくすこと
4.気泡の取込をなくす事
5.中子ガスを逃す事
6.引け巣対策(押湯設計)
7.溶湯の対流防止
8.偏析防止
9.残留応力の低減
10.寸法基準点の正しい
設定
上記のうち、2〜7までが
鋳造方案に関係するもの。
鋳造欠陥の8割は注湯時の
湯面の乱れによるもの。
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鋳造品を製作するための生産設計を「鋳造方案」と
呼びます。
内引け巣 低圧鋳造 アルミ合金(AC2B)

右は拡大写真 その部位が速く冷却されるようにします。
鋳鉄などでは、冷却速度が早過ぎるとチルや割れ等の
欠陥が生じやすく、アルミニウム合金では、冷却速度が
早い方がポロシティ欠陥が発生しにくい。
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●凝固設計について※3
製品の薄肉部→厚肉部
→押湯の順に凝固を終了
させます(指向性凝固)
1.押湯の場所と個数
有効範囲の表を参考にする
2.押湯の種類と形状

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内引け巣 生型 ねずみ鋳鉄(FC300)

中子ガスの発生による欠陥。押湯設計、冷やし金の活用。
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3.押湯の寸法
押湯方程式というものがある。
モジュラスM(M=V(体積)/S)
を使って凝固時間を表現した、
クボリノフの式がある。
4.冷や金の設計
指向性凝固によって
ホットスポットの位置を
変更できる。
5.肉厚こう配による
押湯の省略も可能 |
ざく巣 フルモールド鋳造 球状黒鉛鋳鉄(FCD600)

凝固時の体積収縮による溶湯供給不足 鋳込み温度を
上げる。
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●湯口設計について※3
(流動設計)
1.湯口系の種類の選択

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ザク巣 フルモールド鋳造 球状黒鉛鋳鉄(FCD450)

鋳込み温度が低いと集中型、高いと分散型になる。
(上:1398℃ 下:1453℃)
鋳込み温度を低くする。冷やし金を使って指向性
凝固させる。
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2.湯道、堰の数、位置
寸法
溶湯が均等、迅速に
流入するようにする
3.湯口比
湯口断面積の設計
加圧方式(鋳鉄系)
非加圧方式(Ai,Mg合金)
4.鋳込速度、鋳込温度
速い→砂かみ、のろかみ
ガス欠陥、鋳型破損
遅い→湯まわり不良
湯じわ、照らされ
高い→ガス、ひけ巣欠陥
(参考)
注湯時に生じる鋳型破損の例

溶湯流により、鋳型の一部が
欠ける → 飛ばされ、
鋳型の一部がえぐられる
→ 荒され(洗われ)
鋳型と溶湯が反応する→焼着き |
ガス吹かれ(ブローホール) シェルモールド鋳造
ねずみ鋳鉄(FC250)

粘結剤を減らす、空気およびガス抜きを適切にする。
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ピンホール(残渣がスラグ化) 生型鋳造 球状黒鉛鋳鉄
(FCD450)

黒鉛球状化剤の残渣。球状黒鉛化処理温度、出湯温度を
上げる。
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5.ヘッドの有効高さ
有効ヘッドの高さを
ベルヌーイの式に適用
して、湯口比、鋳込
時間を使って、湯口系の
断面積が決定される
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<方案に正解はない>
@ 堰の設置位置
A 湯道の形状(湯流れの方向性)
B 押し湯のサイズ、位置
C 湯口、湯口底、湯道
(断面積など 湯口:湯道:堰総断面積)
<方案の自動設計の注意点(ソフトを信じてはいけない)> シミュレーションソフトの自動設計に慣れると
最終充填部、最終凝固部しか見ないように
なる傾向があります。現象のメカニズムの理解し、
過程が分からないといけません。そのためにも、
特に商用の鋳物の場合は、ミニマムコストが
要求され、仕上げの様子など(中子と仕上げは
コストに関係する)現場を見ないと分からない
ことも含めて、色々な検討が必要になります。
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もう少し、詳しく知りたい方は→
鋳造技術のアレコレ へ
色々な検討とは、
仕上げに方案の痕跡を残さない
型バラシしやすい、
見切り面の制限、堰の除去
除肉(駄肉の除去)、
歩留まり向上など、 |
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